24年10月 3日
現在の3D測定結果に満足していますか? 正確かつ再現性に優れ、信頼できると確信できますか? 記事を見る品質管理は、製造した部品が明確な品質基準や顧客要件に適合しているかを確認するプロセスと定義されます。一般的に、品質管理では、部品の様々な特徴を測定、確認、試験および検査して、CADモデルなどの基準や仕様と照らし合わせ、適合性を判断します。
製造工程で品質検査が重要なのは、製品品質の標準化と均一性を確保して、高い製造基準の維持につなげられるためです。品質管理の恩恵を多く受けるのは、より質の高い製品を手にすることができるようになる消費者です。品質が上がれば、顧客満足度も高まり、顧客保持率も向上します。これによって、既存の需要が拡大し、新たな製品の開発に結びつきます。
品質管理向けの測定機器には、いくつかの選択肢があります。確実に精度の高い品質検査向け測定機器である座標測定機(CMM)を採用することもできます。ただし、極めて高い精度は得られるものの、不便な面もあります。CMMは(プログラミングや操作に時間がかかるという意味で)高速の測定ツールではないため、すべての検査を行うとなると、作業が行き詰ってしまうことが少なくありません。ここで、品質管理をスムーズに行えるようにするツールとして役立ち、CMMの負担軽減に一役買うのが3Dスキャンです。
この記事では、検査に3Dスキャンを選ぶ理由についてのガイダンスを提供します。様々な3Dスキャナーと工業用寸法検査ソフトウェアを差別化し、検査ニーズにふさわしい3Dスキャンを選べるようお手伝いします。また、3Dスキャンを選択することが、自社や顧客にどのように役立つかについても探っていきたいと思います。
3Dスキャンとは
3Dスキャンは、対象物の形状とテクスチャに関するデータを収集して物理的対象物や周囲の状況を分析するプロセスです。収集したデータを、デジタル3Dモデルの作成に活用することもできます。
3Dモデルは、対象物の表面に関する、幾何学的サンプルの収集点群で構成されています。これらの点群はさらに、対象物の形状とテクスチャの推定に使われます。このプロセスを再構成と言います。3Dスキャナーは、3Dモデルの作成に必要な3Dデータの収集に使われる測定機器です。
工業用寸法検査レベルの3Dスキャナーには、どのようなタイプがあるのか
物理的対象物の形状とテクスチャをデジタル処理で収集する3Dスキャナーには、主に、接触型と非接触型の2つのタイプがあります。
接触型3Dスキャナーは、物理的な接触によって対象物を探査するものです。この間、対象物は、平坦さが正確に確保された場所に設置されるか、固定具で固定された状態にあります。接触型3Dスキャナーには、従来型の座標測定機(CMM)、多関節測定アームや手動タッチプローブがあります。
非接触型3Dスキャナーは、一般的に、対象物に対してレーザー線または白色光を照らし、その反射をカメラで検知して対象物の形状とテクスチャに関する情報を収集します。この技術は、レーザー反射、カメラ、レーザーエミッターの3つが三角形を形成することから三角測量と呼ばれます。
非接触型3Dスキャナーには、レーザーベース3Dスキャナー、構造光(または白色光)3Dスキャナー、光学式CMM 3Dスキャナーがあります。写真測量法(フォトグラメトリー)も非接触型で、画像の分析に基づいて物理的対象物の形状に関する情報を収集します。
どの工業用寸法検査グレード3Dスキャナーを品質管理向けとして選ぶべきか?
品質管理には、高精度の測定機器が必要です。したがって、公差の厳しい特徴の測定を従来型のCMMに割り振り、3Dスキャナーには、それ以外の、特に製造現場で行う必要のある品質管理作業を割り振ります。3Dスキャナーは手頃な価格で手に入れやすいだけでなく、測定スピードが速く、トレーニングも操作もプログラミングも短時間で済み、重要な検査にCMMの貴重な時間を充てられます。
さらに重要なのは、3Dスキャナーが従来型のCMMの作業負荷を軽減し、ボトルネックの問題を解消できる点です。
Creaformの包括的なポータブル3D光学式測定技術は、生産現場で寸法検査を実施して品質管理を行えるよう特別に設計されています。精度、スピード、携帯性と汎用性に優れたCreaformのソリューションなら、大きさ、形状、材質、表面仕上げや複雑さの度合いに関わらず、品質管理や品質保証の担当者自ら製造部品の適合性と品質の確認を行えます。
検査向けに特別に設計された3Dスキャナー
MetraSCAN 3D
MetraSCAN 3Dは、メトロロジー・グレード(工業用寸法検査グレード)の三次元測定と3D幾何学形状の表面検査向けとして極めて完成度の高い3Dスキャン・ソリューションです。製造現場の振動、部品の動き、環境の不安定さに左右されないため、品質管理プロセスの効率が大幅に向上します。
ISO17025認証を取得しているMetraSCAN 3Dは、工業用寸法検査ラボ、生産現場のいずれにおいても複雑な表面の測定にも反射材の測定にも対応できます。
1秒間に最大1,800,000データポイントをキャプチャできる15本のブルーレーザークロスで、細部はもちろんのこと、容積の大きいものもキャプチャできます。手早く行えるセットアップに加え、リアルタイム・スキャンやすぐに使えるファイル作成機能を備えたMetraSCAN 3Dだからこそ実現できる比類ない測定スピードなら、大規模構造部品の測定であっても、データ収集時間を最適化でき、処理スピードを最大化できます。
つまり、承認済みの高品質部品を迅速かつ効率的に出荷したい製造担当者や工業用寸法検査担当者にとって理想的な機器と言えます。
HandySCAN 3D|BLACKシリーズ
メトロロジー・グレードのポータブル3Dスキャナーと言えば、HandySCAN 3D|BLACKシリーズです。品質管理の効率化を可能にするそのスキャンスピードに加え、セルフ・ポジショニング機能と便利な携帯性も備え、どこにでも持ち運んで利用できます。
HandySCAN 3D|BLACKシリーズはISO 17025認証を取得しており、極めて高い精度が得られるだけでなく、細部まで鮮明に再現でき、測定システムのトレーサビリティも十分に確保できます。
スキャンエリアを変えられ、大きさに制限なくスキャンでき、高解像度カメラを内蔵、しかも複数のブルーレーザー線を採用するHandySCAN 3D|BLACKシリーズなら、特別な仕上げや処理を施した様々な形状の部品も複雑な形状の部品も測定でき、部品品質を損なうこともありません。
さらに、HandySCAN 3Dは、どのような作業条件や作業環境でも精度の高い再現可能な結果が得られるため、ダウンタイムの軽減と顧客への提供時間の短縮の一挙両得を実現できます。
どのメトロロジー・ソフトウェアを検査向けとして選ぶべきか?
検査向けのメトロロジー(工業用寸法検査)・ソフトウェアを探す場合、使いやすく、習得も容易な直観的インターフェース、データ統合のしやすさ、そして操作のしやすさを特に重視する必要があります。また、製造工程で初回品検査(FAI)、品質管理(QC)、品質保証(QA)を実施するのに必要なあらゆるツールや機能を提供してくれるメトロロジー・ソフトウェアを選ぶべきです。さらに、1つのソフトウェア・モジュールでデータ収集機能と検査機能の両方を活用できるだけでなく、使用している3Dスキャン・ソリューションと問題なく統合でき、ハードウェアと互換性があるソフトウェアを選ぶ必要があります。
これらの要件から導き出されるのは、CreaformのVXelementsに統合可能な、直観的3D検査ソフトウェアであるVXinspectです。この検査向けメトロロジー・ソフトウェアによって、品質管理担当者や品質保証担当者が自ら寸法検査を行って、細かな工学的要件に基づく検査レポートを作成できるようになります。
単純な寸法分析用として使用する場合であっても、大規模な検査プログラムの構築向けに使用する場合であっても、あらゆる検査ワークフローに対応する包括的なツールセットを提供するVXinspectなら、測定品質に妥協することも、公差設計と幾何公差(GD&T)の要件に妥協する必要もありません。
その直感性と性能に満足している何千人ものユーザーが、最も金額に見合う価値のある3D検査ソフトウェアとしてVXinspectを支持しています。
つまり、VXinspectは、全検査工程を通してサポートしてくれる、臨機応変に対応できる有能なアシスタントというわけです。簡便さと効率性を兼ね備えたVXinspectを活用すれば、製造部品の適合性を検証でき、より高品質の部品を顧客により早く届けることができるようになります。
検査に3Dスキャンを選ぶ理由
3Dスキャンを使えば、品質管理は工業用寸法検査ラボでなくとも、製造現場で行えるようになります。Creaformの3Dスキャナーは、製造現場で、部品の並びを維持しつつ測定精度を確保して部品を測定できるよう設計されているため、CMMを補完する役目を十分に果たすことができます。
現在では、慎重に行う必要のある、厳しい公差が求められる特徴の検査にのみCMMが用いられ、他の品質管理はすべて3Dスキャンが取って代わるようになっています。そうすることで、製造工程を通して製品品質を確保できるだけでなく、報告された品質の問題の的確な診断と単純な日々の検査の効率化も可能になり、何よりも、CMMの負担を軽減できるようになります。
それどころか、Creaformの最先端の3Dスキャン技術を活用すれば、可能性は無限大です。サイズや形、表面の幾何学形状や表面仕上げ、材質を問わず、様々な対象物をスキャンできます。さらに、3Dスキャナーを生産現場に直接持ち込んで品質検査を行う柔軟性も確保できます。この作業効率の向上により、中間測定のステップを追加できるようになることから、製造工程の改善と部品の品質向上につながります。