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軽量でありながら頑丈な部品を生み出す、3Dプリントなどの積層造形工程および積層造形技術の活用は、業界を問わず、企業に計り知れないメリットをもたらします。試作品製造期間の短縮、カスタム設計の迅速化、過剰な部品在庫の大幅な低減など、積層造形によって、製造工程の効率化とコスト削減がこれまでとは比較にならない高水準で実現できます。
しかし、こういったメリットがある一方、大きさによる制約や品質を一貫して維持すること、拡張性が限られるといった、特に品質管理に関わる重要な課題がいくつもあります。これらの問題を詳しく見ていくことにしましょう。
3Dプリント部品の一貫した品質の維持
生産チームは、特に金属部品の生産で品質の一貫性に関わる問題に直面することが少なくありません。
積層造形工程では、部品を層ごとに3Dプリントしていきます。しかし、各層の強度はすべて同じになるとは限りません。技術者は、理論上は形作られていく層ごとに検査することはできるものの、実際に行うには手間がかかり、非効率的で人為的ミスを招く恐れもあります。
積層造形工程の検査チームは、3Dプリントで製作した各部品が、本来の設計意図と期待される許容誤差のいずれをも一貫して満たしていることをより迅速に確認できるソリューションを必要としています。
現在の3Dプリンターは、以前に比べて格段に大きな部品を製作できるようになっています。とはいえ、長さ数メートル、重さ数千ポンドにもなる非常に大きな部品の品質管理を行う場合、大きさがやはり問題になってきます。
座標測定マシン(CMM)などの従来の品質管理システムではこの問題を解決することはできません。資格のある寸法測定の専門家がいなかったり、生産量が極めて多かったりすれば、あっという間にボトルネックが発生してしまうからです。また、CMMが設置されている場所まで非常に大型の部品を運ぶのは、多くの人手を必要とする手間のかかる作業です。物理的に不可能な場合もあり得ます。
とても高い温度で部品を製造しているメーカーの場合、検査チームは、部品が冷えるのを待って品質チェックを行う必要もあります。これによって予定がずれ込んだり、スループットの低下を招く可能性もあります。
現代の厳しい競争環境下では、タイミングこそがすべてです。特に、新製品の発売やB2B顧客に製品を出荷するといった正念場では大きな意味を持ちます。
需要が急激に拡大した場合は、生産スピードも重要です。だからこそ、積層造形メーカーは、大量生産に対応すべく、新たなシステムに投資しているのです。とはいえ、スピードの問題は、品質管理にも当てはまります。
CMMでは検査によって停滞が発生したり、インライン検査が実施できないという問題とは別に、積層造形メーカーは出荷前に不良部品や寸法の逸脱を発見できる、最新の品質管理手法を必要としています。
ポータブル3Dスキャナーや光学式CMMといった3D測定技術は、先に示した品質管理に関わる課題を解決して、より高品質の部品を生産しようと取り組んでいる積層造形メーカーの注目を集めています。
高い携帯性:品質管理技術者は、生産現場で3Dスキャン技術を利用できます。測定の必要があればどこででも測定できるため、特に大きい部品を扱う場合に移動させる必要がなくなります。3Dスキャナーは、温度変化やほこりがあっても、その他の厳しい条件下でも、どのような環境でも動作します。
精度:3Dスキャナーの場合、大きさや複雑さ、形状や材質を問わず、どのような表面仕上げの部品であっても、より正確に検査できるだけの高い分解能とデータ品質が得られます。3Dスキャナーは、3Dプリントされたばかりの金属部品の品質検査を、まだ熱い状態であっても行える理想的なツールです。しかも、3Dプリント工程のどの段階でも部品のスキャンを行えます。
スピード:高速でデータを取り込めるということは、品質管理チームが、大型部品の3Dスキャンを数時間ではなく数分で完了できるということです。3DプリントやCADソフトウェアにメッシュをシームレスにエクスポートできるため、より詳しい分析や設計変更も可能です。まだ熱い状態の部品でもスキャンできるため、品質管理チームは大幅に生産性を向上させることができ、事業のスピードアップにつながります。
HandySCAN 3DスキャナーやMetraSCAN 3Dといった3D測定技術は、積層造形分野で活用される人気のソリューションです。
3Dスキャナーを使うようになって、積層造形チームは、3D測定データの信頼性、再現性および精度に不安を抱くことがなくなりました。これは、3Dプリントのメリットを活かしつつ、顧客の期待を裏切らない部品品質レベルを維持したいメーカーにとって何物にも代えがたいものです。
ハンディタイプの3Dスキャナーなら、積層造形エンジニアや技術者は、インライン検査やアットライン検査で部品を素早くスキャンできるため、検査時間の大幅な短縮とスループットの向上が可能です。
3Dプリントで製作された部品は、試作品段階であろうと品質管理の段階であろうと、高い精度で測定を行って、生産工程を本格始動させる前に寸法の誤差や設計の問題を分析する必要があります。
積層造形チームは、最終製品が顧客の品質要件を満たしていると確信できる正確なデータに基づいて設計や品質管理に関わる意思決定を安心して行えます。また、3Dスキャナーにより、メーカーは様々な部品を同時に検査する能力を獲得して、大量生産サイクルの品質管理のスピードを加速できます。
お客様:Lincoln Electric Additive Solutions社
Lincoln Electric Additive Solutions社は、積層造形技術によって大型の金属部品を専門に生産しているメーカーです。
スチール、ステンレス、ニッケル鉄合金、ニッケル合金、ニッケルアルミニウム青銅を使い、金属の試作部品や交換部品を開発しています。顧客は、航空宇宙から重機や輸送まで、多岐にわたります。
Lincoln Electric Additive Solutions社が生産工程の初期段階で3Dプリントによる大型の金属部品の寸法と品質を素早く見極めるために使用しているのが、HandySCAN 3DスキャナーとMetraSCAN光学式CMMです。導入の結果、検査時間の短縮だけでなく、コストを押し上げる製造ミスを低減できるようにもなっています。
Lincoln Electric Additive Solutions社の事業開発担当マネージャーであるマーク・ダグラス(Mark Douglas)氏は、自社の積層造形工程に3Dスキャン技術がもたらした価値は計り知れないほど大きいと、次のように述べています。「すべての部品が顧客の期待通りの品質に仕上がっていることに、自信をもって送り出すことができるようになりました」